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従業員地位確認等請求事件(前橋地裁平成22年11月10日)
被告Y鉄道会社に勤務していた原告Xは,平成21年6月に駅の事務室内において,事務室のトイレから出てきた女子高生(当時17歳)に対し,接吻するなどの強制わいせつ行為を行ったとして逮捕された。同年7月,被告Yは,上記強制わいせつ行為が就業規則所定の「法令,会社の諸規程等に違反した場合」に該当するとして,原告Xを懲戒解雇した。
そこで,原告Xは,①本件解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないから,その権利を濫用したものであって無効である,②仮に,本件解雇が無効でないとしても,退職金には,賃金後払的な部分があるから,退職手当規定に従って退職金全額を不支給とするのは,労働基準法24条に反し許されないなどと主張して,被告Yに対し,主位的に,労働契約上の地位を有することの確認並びに給与及び賞与の支払,予備的に,1397万円余の退職手当の支払を求めた。
[裁判所の判断]
裁判所は,(1)原告の行為は就業規則の懲戒事由に該当し,本件解雇には客観的に合理的な理由があり,社会通念上も相当性を欠くとは認められないとして,主位的請求を棄却したが,(2)退職手当については,原告には懲戒免職事由があることを考慮しても,永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為があって,企業秩序維持等のために賃金後払的性格を有する退職手当の全額を不支給とする合理的必要性があると認めることはできず,一定の割合の支給を認めるべきであるとし,本件強制わいせつ行為の態様及び原告のそれまでの勤務状況等の諸事情を総合考慮のうえ,3割に当たる419万円余の退職手当の支給を認めた。
(竹口・堀法律事務所) 2015年3月14日 17:51
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