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相続・遺言
ご親族が亡くなり、相続が開始した場合、遺言書がなければ、相続人間でどのように遺産を分けるかという問題が発生します。遺産分割においては、多数の利害関係者が関わることから利害の衝突が生じ易く感情的なもつれにより、話し合いがうまくいかないことがあります。
また、相続が生じてから長期間が経過したため、そもそも相続人が誰なのか分からない遺産の範囲が分からないということもしばしばあります。
このような場合は、一度弁護士にご相談下さい。
第1 遺産分割手続の流れ
1.相続人の調査・確定
相続問題を解決するためには、まず、誰が相続人であるかを確認する必要があります。
具体的には、当該事案で亡くなった方を被相続人として、誰が今回の相続人であるか、戸籍謄本等を取寄せて調査します。
戸籍等を取り寄せて確認することにより、養子縁組や認知などの事情で、予想していなかった相続人が判明することもあります。
被相続人が数世代前の世代である場合や、被相続人が複数存在する場合など、相続人が数十人に及ぶ場合もあります。
相続人が誰であるか判明したら、それぞれの相続人の法定相続分を確認します。
被相続人が死亡してから遺産分割するまでにあまりに長い期間が経過してしまうと、相続人の数が膨大になり、解決までに多額の費用や長い年月を要することとなってしまいますので、遺産分割問題(相続問題)は、早めに解決することをお勧めします。
2.相続財産の調査・確定
相続人が確定したら、相続財産(遺産)にどのようなものがあるかを調査します。
相続財産の内容は、当該事案によって様々ですが、例えば、不動産、現金、預貯金、保険関係、有価証券、動産などがあります。
それぞれの財産の内容に応じて、財産の内容が分かる書類を取り寄せ、内容を確認することとなります。
財産の内容を確認するための書類としては、預貯金であれば当該金融機関の残高証明書や取引履歴などが考えられます。また、不動産であれば、登記簿謄本、名寄帳、固定資産税通知書などが考えられます。
相続財産の内容が分かったら、全ての相続財産を金銭的に評価し、相続財産(遺産)の総額を把握します。
3.争点の整理等
相続人も相続財産も確定したら、当該事案に関する争点等を確認します。争点には、特別受益や生前贈与、寄与分などがあります。
これらの争点を適切に把握するためにも、弁護士に相談しておくのが望ましいでしょう。
4.相続人間での話し合い
(1) はじめに
被相続人が遺言を残していれば、そちらが優先されます。
ただし、配偶者・子等には遺留分が認められているので、遺留分を侵害する内容(一切の財産を第三者に相続させるなど)であれば、侵害を受けた相続人は遺留分減殺請求をすることができます。
遺言が残されていない場合は、相続人間で遺産分割について話し合いを行います。
話し合いにより、相続人間で合意が成立した場合、遺産分割協議書を作成します。
当事者のみでは話し合いが難しい場合は、遺産分割交渉の代理人として、弁護士が依頼を受けて遺産分割協議を進めることとなります。
なお、あわせて、相続分譲渡交渉や、地代などの不当利得返還請求交渉などを行うこともあります。
(2) 不動産の分割方法
相続問題について、話し合い(遺産分割協議)での解決を図る場合、最も問題となりやすいのは、不動産の分割方法です。
例えば、ある不動産が相続財産(遺産)となっている場合、各相続人の法定相続分にしたがって分割するのが原則ですが、そもそも当該不動産をどのように評価すべきかがまず問題となります。
この場合、固定資産評価額にしたがった評価方法を主張すべきか、相続税を基準とした評価方法を主張すべきか、市場価格をもとにした評価方法を主張すべきか、当該事案の特性や当該依頼者の主張などに基づいて検討します。
また、不動産の評価方法が定まった場合でも、不動産をどのように分割するかというのは非常に難しい問題です。相続人間で合意が得られれば、当該不動産を売価してその売却代金を分割することもできます(現金分割)。もっとも、不動産の売却を行うのには時間や経費がかかりますし、先祖から受け継いだ不動産を売却することに反対する相続人がいる可能性もあります。また、当該不動産に相続人の誰かが居住している場合には、無理やり追い出すわけにはいかない場合もあります。
そこで、当該不動産を誰かが取得して、他の相続人には法定相続分に相当する金銭等を交付するという方法もあります(代償分割)。
5.遺産分割調停・審判
(1) はじめに
相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合は,家庭裁判所に対して遺産分割調停を申し立てます。
「調停」とは,裁判官と調停委員2名が相続人の間に入り,話し合いで解決しようとする手続です。遺産分割調停の場合、当事者が複数となることもあり、そのような場合は、なかなか調停がまとまらないため、1年以上も調停が係属することもあります。当事者同士だと、どうしても感情的になりやすいため、当事者が感情的になってしまうおそれがある場合などは、調停を弁護士に依頼した方が良いといえるでしょう。
調停でも合意が成立しない場合には,裁判官が適切な分割方法を決める、「審判」という手続へ移行します。
(2) 家事事件手続法について
調停も審判も、平成25年に新しく試行された「家事事件手続法」の定めにより手続が進められます。当事務所は、同法の規定を念頭に置いて、手続を進めています。
相続問題などの家事事件を弁護士に相談する場合には、家事事件手続法に精通している弁護士に相談するのが良いでしょう。
(3) 佐世保の遺産分割調停・遺産分割審判
被相続人の最後の住居地が佐世保市内である場合などは、原則として、長崎家庭裁判所佐世保支部の管轄となります。
当事務所で相続問題の依頼を受ける場合、最も多いのがこの長崎家裁佐世保支部を管轄とするケースです。
長崎家裁佐世保支部で調停を行う場合、調停の開廷日が特定の曜日に限定されていたり、調停の運用において特徴などがある場合がありますので、遺産分割調停については、当事務所にご相談ください。
審判となる場合は、長崎家裁佐世保支部に所属する裁判官が判断をくだすこととなります。
第2 遺言について
1.はじめに
「自分のところは家族、兄弟の仲がいいから遺言は必要ない」と思っている場合でも、いざ相続が開始すると、紛争が生じることは珍しくありません。
遺言書さえ残しておいてくれれば、家族が不幸にならずに済んだのに・・・このような事例は多々見受けられます。
無用な紛争の長期化、これによる家族関係の悪化を防ぐためには、遺言を残すことが効果的です。
2.遺言の種類
(1) 自筆証書遺言
「自筆証書遺言」は、自筆で全文・日付・氏名を書いたうえ、印を押して作成します。
もっとも費用がかからず、簡単に作成できる方法です。しかしながら、紛失したり、隠滅される危険性が高く、一定の要式を充たしていない場合は、無効とされてしまう危険性もあります。
さらに、相続人は遺言書を発見した場合、家庭裁判所で検認手続をとらなければならず、相続人に一定の負担を強いることになります。
(2) 公正証書遺言
ア 公正証書遺言とは
「公正証書遺言」は、遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口授し、それを公証人が文章にして遺言書を作成するものです。
費用はかかりますが、原本が公証人役場で保存されるため、紛失や隠滅を防止できますし、検認手続も不要です。
イ 佐世保公証役場での公正証書遺言作成について
佐世保市民その他佐世保近郊にお住まいの方が公正証書遺言を作成する場合は、原則として、「佐世保公証役場」を利用することとなるでしょう。公証役場には、公証人と呼ばれる方がおり、公正証書遺言を作成してくれます。しかしながら、公証人は、形式面のチェックをしてくれるだけであり、遺言の内容についてまではアドバイスをしてくれません。
したがって、公正証書遺言を作成する場合には、内容面については弁護士に相談して、形式面を公証人が整えることとなります。もっとも、弁護士が作成・アドバイスした遺言書を当事者が公証役場に持って行っても作成がうまくいかない場合があります。
そこで、当事務所では、当事務所で作成した公正遺言書案については、当事務所が直接公証人と交渉することにより、公正証書遺言をスムーズに作成することができるようにしています。
なお、長崎県大村市には公証役場がないことから、大村市在住の方が、佐世保公証役場で公正証書遺言を作成するケースも多いです。
(3) 秘密証書遺言
「秘密証書遺言」は、遺言の内容を書いた証書に書面押印して、それを封筒に入れて証書に用いたのと同じ印で封印します。
それを公証人に提出し、自分の遺言であること及び筆者の指名・住所を申述し、公証人が提出した日付・遺言者申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印するものです。
3.遺言がある場合の事件処理
遺言がある場合には、遺言の内容にしたがって遺産を分割することとなります。
もっとも、遺言の内容に不満をもつ相続人がいる場合は、遺留分減殺請求を行うことがあります。
また、遺言の内容によっては、遺言の無効などを主張することもあります。
4.遺言に関するその他のご依頼やご相談
(1) 遺言の作成に関するご相談
遺言を残した方が良いと言われても、遺言の書き方や作成方法が分からないという方も大勢いらっしゃいます。
そこで、当事務所では、ご本人に代わって遺言書を作成したり、遺言書の作成の仕方などをアドバイスすることができます。
(2) 遺言の保管に関するサービス
また、遺言を作成したものの、自分が亡くなるまでは家族(推定相続人)に内容を知られたくないというケースや、せっかく作成した遺言が紛失するのを防ぎたいという方もいらっしゃいます。
そこで、当事務所では、作成した遺言書を保管するというサービスも行っております。
(3) 遺言執行者に関するご依頼
遺言をのこした場合、遺言の内容を実現するためには、「遺言執行者」を選任しておく必要があります。
もちろん、家族を遺言執行者に選任しても良いのですが、相続人や家族が遺言執行者に選任されると、相続人の誰かが不満を感じることが少なくなく、トラブルが発生する可能性があります。
その場合は、第三者である弁護士を遺言執行者に選任しておくと良いでしょう。
(4) 遺言に関するセミナー等
このように、遺言については各種の問題がありますので、当事務所では、遺言に関するセミナーのご依頼があれば、セミナーを開催しています。