竹口・堀法律事務所


弁護士ブログ


民事信託(家族信託)について(R6.7)


2024/07/01 15:29

1 民事信託とは
 
 民事信託(家族信託)とは,簡単にいうと,委託者が,受託者に対して,信託財産となる財産を管理・運用・処分できる権利を渡すことです。
 
 高齢化社会が近年進んでいることにより,当法律事務所でも,高齢者の方々の財産管理や相続問題・遺言問題等が増えています。
 
 その中で,高齢者の方々の財産に関するトラブルや問題を解決する方法として,任意後見・法定後見・贈与,遺言,遺産分割,成年後見信託(信託会社との信託契約に基づく信託)等がありますが,そのような方法のひとつとして,民事信託(家族信託)という方法もあります。
 
 
2 民事信託のメリット
 
 民事信託(家族信託)には,例えば以下のようなメリットがあります。
 
・親の認知症対策および財産管理ができる
・遺言の代わりに財産の帰属先を決められる
・財産の管理・処分と利益の分離ができる
・遺産相続の分割を詳細に決められる
相続後に残された人(障害がある子ども等)の生活が保障できる
・3世代にわたって財産の承継先を決められる
・中小企業の経営者が,起業の株式を信託して事業承継に利用できる
 
 
3 民事信託の手続
 
 民事信託を具体的に進める場合,まずは専門家に相談していただくことが無難です。具体的には,法律論も必要となりますので,弁護士が望ましいと言われています。
 
 専門家に相談した後は,専門家のアドバイスに沿って契約書を作成することになると思います。なお,契約書の作成について,弁護士としては,公証人が作成する信託契約公正証書という選択肢も検討しています。
 
 そして,信託財産に不動産が含まれる場合には,「所有権移転登記」や「信託登記」等の登記手続をすることとなります。
 
 その他,信託財産が悪用されないよう,信託口口座の開設も必要となります。
 
4 民事信託における弁護士の役割
 
 民事信託の手続が進められる場合,ケースにもよりますが,公証人(公証人役場)・金融機関・司法書士・税理士等の連携が必要となります。
 
 ここで,弁護士であれば,司法書士や税理士としての役割を果たすこともできますが,公証人・金融機関・司法書士・税理士等の間で,弁護士がいわばコーディネーター役割を果たす方が,より健全な進め方といえそうです。弁護士であれば,その弁護士にもよりますが,司法書士業や税理士業に対する理解も一定程度進んでいます。
 
 
5 当法律事務所と民事信託
 
 近年は,当事務所が所在する佐世保市でも,民事信託(家族信託)に関するご相談やご依頼が増えてきています。
 なお,当事務所には,佐世保市のみならず,近隣の地域(平戸市・松浦市・西海市・川棚町・東彼杵町・伊万里市・有田町・武雄市)等からのご相談も多く寄せられております。
 
 当事務所では,事務所内に様々なスキルを持った弁護士や事務局がいますが,特に民事信託等では,事務所内にとどまらず,日頃より連携している事務所外の専門家や専門機関とより連携して手続を進めております。
 
 そのような理由から,比較的多くの案件を処理させていただいていると思います。
 
 今回は,民事信託(家族信託)のメリットや手続等に軽く触れましたが,民事信託には,デメリット等もあります。
 
 そのようなデメリット等を理解した上で手続を進める必要もありますし,もしご相談ごとがありましたら,いつでもお気軽にご連絡ください。


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