1 はじめに
各弁護士会では,定期的に,各弁護士に対して「裁判官人事評価段階式アンケート」を実施し,取りまとめています。
そのようにして,裁判官・検察官・弁護士が,法曹三者として,日本の司法を担っております。
ここで,裁判官も公務員として,裁判所における所定の人事評価を受けます。
一方で,裁判官については,いわゆる司法の独立ということで,裁判官の職権行使の独立の原則(憲法76条3項)等が定められています。
そこで,裁判官の人事評価については,所定の審議会による審議等がなされながら,慎重に進められております。
具体的には,裁判所によると,裁判所の人事評価について,一次的には裁判所内での人事評価を受けますが,裁判所内部だけでなく,裁判所外部の見方に配慮しうるような適切な方法を検討すべきとされています。
そして,審議会では,「弁護士や検察官等による外部評価を一定期間ごとに行うことによって内部評価とあわせて評価を行うべき」「法曹関係者,裁判利用者の声が反映されて決定していく必要がある」といった意見も出されているようです。
この点については,上述した裁判官の職権行使の独立等との兼ね合いもありますので,「代理人等裁判所外部の者からもたらされる情報の中には,裁判官の執務や裁判所の運営の改善に対して参考となる意見が含まれていることがあるが,それらについては,評価の問題と切り離して,研修その他の場を通じ,裁判官の執務や裁判所運営に生かすことが望まれる」とされているようです。
3 各弁護士会での「裁判官人事評価アンケート」について
以上のことも含めて,各弁護士会で,定期的に,「裁判官人事評価段階式アンケート」が実施されています。もちろん,長崎県弁護士会でも実施されています。
ちなみに,評価の対象となる裁判官は以下のとおり長崎県内の全ての裁判官であり,アンケート項目は以下のとおりです。アンケート項目は,各弁護士会で共通しているものと思われます。
その上で,以下のとおり最終的な評価をA~Dで記載しますます。
◆アンケート項目
・全般
・審理を主催する能力
※争点を的確に近いし,事件の筋を見通しながら進めているか。
無方針のまま審理を継続したり,判断を回避して判決延期を繰り返したりしていないか。
・審理に応じた柔軟性
※当事者の主張に耳を傾け,柔軟な姿勢で審理に臨んでいるか。
自分の当初の判断に固執したり,和解案を当事者に押し付けていないか。
高圧的姿勢や乱暴な言葉遣いはないか。公平に接しているか。
・民事
・証人等採否の適否
・和解案の妥当性
・判決の説得力
・刑事
・証人等採否の適否
・判決の説得力
・家事・人事
・証人等採否の適否
・和解案等の妥当性
・審理・判決の説得力
・少年
・証人等採否の適否
◆評価について
C 問題点について研鑽を重ねてほしい
4 最後に
当事務所の弁護士も,上述した裁判官の人事評価アンケートに協力し,裁判所への裁判官人事評価のための情報提供に協力しております。
特に,当事務所では,佐世保市の裁判所だけでなく,特に長崎市の裁判所や諫早市・大村市・平戸市・島原市の裁判所等,多くの裁判所の案件に携わっているため,多数の裁判官の案件を取り扱っております。
今回当事務所で回答したアンケート内容と,長崎県弁護士会で取りまとめの結果は概ね符号しており,いろいろと思うところがある結果となりました。
今後も,よりよい司法となるよう,法曹三者で情報共有しながら案件の処理を進めてまいりたいと思います。