竹口・堀法律事務所


判例(裁判例)紹介


交通事故の後遺障害(H22.12.14判決)


2014/10/27 22:17

(はじめに)
 交通事故では,症状固定となった後,後遺障害が残存する場合は,後遺障害に基づく損害を相手方に請求します。
 今回は,後遺障害の中で,外貌醜状痕に関する後遺障害の損害について判示した裁判例(秋田地判平成22年12月14日(平成21年(ワ)第354号))をご紹介します。
 
(事案の概要)
 本件は交通事故に基づく損害賠償請求の事案である。交通事故の態様は,原告X1が運転し,妻の原告X2が同乗する普通乗用自動車の走行車線に被告Y1が運転し,被告Y2が保有する普通乗用自動車がセンターラインを越えて進入したために両車が衝突し,原告らが受傷したというものである。
 原告らは,被告Y1に対しては不法行為に基づき,被告Y2に対しては自賠法3条に基づき,損害賠償金の連帯支払を求めた。
 
(裁判所の判断)
 本件の争点は,損害額である。
 特に,原告は,労災認定における外貌醜状障害について,男子を14級,女子を12級とする後遺障害別等級表の基準に従った認定は不合理な差別的取扱いであり,平等原則に反するから,原告(男子,52歳,銀行課長職)の外貌醜状障害については後遺障害別等級表12級14号該当として評価すべきであると主張したため,その主張の当否が争われた。
 裁判所は,労働能力の低下の程度に関して,後遺障害別等級表の等級毎の労働能力喪失率はあくまで参考にすぎず,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体的な事案に応じて評価されるのであり,後遺障害別等級表上の等級評価から演繹的に導き出されるものではないとした上で,原告X1の職業・職種(銀行課長職,債権管理),年齢(症状固定時52歳),醜状の部位・形状・程度に照らし,原告Aの外貌醜状障害が労働能力に与える影響は差程とは思われず,本件の後遺障害全体による原告X1の労働能力の低下の程度は,原告X1の上記主張の肯否にかかわらず,後遺障害別等級表12級相当の14%に留まると認めるのが相当であるとした。  


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