個人再生について |
借金が増えて返済が難しくなったらもう自己破産しかない!というイメージを持っている方もいますが、債務整理には自己破産以外にも任意整理や個人再生という方法があります。
自己破産を行うと財産がなくなってしまうということで手続きに踏み切れないという方もいらっしゃると思いますが、個人再生の場合には財産を残したまま借金を大幅に圧縮することで借金問題を解決できます。
個人再生とは何か、自分のケースでは個人再生ができるのか、個人再生のメリット・デメリットなどをご紹介致します。
竹口・堀法律事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。当事務所では個人再生申立の経験豊富な弁護士が相談にのっております。(個人再生委員としての経験がある弁護士もおります)
初回相談は30分無料となっています。お一人で悩まずにぜひご相談にいらっしゃって下さい。
個人再生とは、裁判所に申し立てをして、住宅等の財産を維持したまま、大幅に減額された債務を原則として3年間の分割で支払い、残りの債務は免除してもらうという手続きです。
裁判所に申立書を提出するため、裁判手続に必要な資料収集等の手間はありますが、 裁判所に提出した再生計画が認可されると、原則として債務が減額され、一般的には任意整理よりも借金を減らすことができます。
返済期間については、原則3年となりますが、特別な事情がある場合には、5年までの長期分割弁済が認められます。
それを3~5年間で支払うことができれば、すべての債務がなくなります。
自己破産の場合は、原則、所有財産は処分の対象になってしまいますが、個人再生の場合は、一定の条件を満たせば、住宅や車などの資産を持ったまま手続が出来ます。
弁護士が受任通知を送付することにより、サラ金や信販会社などの貸金業者や債権回収会社(サービサー)からの直接の取立てを停止させることができます。
これにより、債権者から直接の取立て等がなくなるため、平穏な生活を取り戻し、経済的な生活の再建を図る準備ができます。
支払いを滞納していると、債権者によって、預金口座や給料などを強制執行によって差し押さえられることがあります。
個人再生の手続が開始されると、債権者は強制執行等をすることができなくなります。
また、個人再生手続開始前にすでに強制執行等がされている場合でも,強制執行の中止の申し立てをすることにより、その強制執行等を中止することが可能です。
さらに、強制執行等を中止させるだけでなく、強制執行等の取消しを申し立てることにより、強制執行等を取り消すことも可能な場合があります。
個人再生を行うためには以下の条件を満たす必要があります。
※以下の条件を満たしている場合は個人再生ができません。
→個人再生ができるかできないかは個人では判断が難しいことが多いため、弁護士に相談されることをおすすめいたします。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続きがあります。
統計上、給与所得者等再生よりもよく利用されています。
会社員や公務員などだけではなく、自営業者やアルバイト・パートの方などでも利用が可能です。
ただし、小規模個人再生では、過半数の債権者(人数及び債権額)が反対すると、再生計画が認可されず手続きが廃止されてしまいます。
会社員や公務員などの収入が非常に安定した人だけが利用できる方法です。
この場合、再生計画の認可を受けるのに、債権者の同意は不要です。
ただし、「可処分所得の2年分」以上の金額を支払わなければならないという要件が加わることで、債権者への支払額は小規模個人再生の場合より上がってしまうことが多いです。
借金額(借金全てをあわせた総額) | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金全額(減額されない) |
100万円以上500万円未満 | 100万円にまで減額される |
500万円以上1,500万円未満 | 借金額の5分の1にまで減額される |
1,500万円以上3,000万円未満 | 300万円にまで減額される |
3,000万円以上5,000万円以下 | 借金額の10分の1にまで減額される |
上記のように、個人再生では借金が多額になるほど、減額率が高くなります。
反対に、借金額が100万円以下であれば、個人再生をしても借金が減りません。借金額が少ない場合には、あまり個人再生をする意味がなく、任意整理の方が適しているケースが多くなります。
※ただし、個人再生では「清算価値保障の原則」という原則により、所有する財産(預貯金や生命保険、車など)の合計額がこれを超えている場合は、返済額がその合計額まで増えます。
給与所得者等再生では、上の表の最低弁済額と申立て日から過去2年間の可処分所得額を比較し、多い方が最低弁済額になります。
もちろん、このどちらよりも総資産額が多ければ、総資産額が最低弁済額となるのでご注意ください。
小規模個人再生でも給与所得者等再生であっても,住宅ローンのあるマイホームを残す場合は住宅ローンの残債務は減額の対象となりませんのでご注意下さい。
個人再生はご自分でも頑張ればできなくはありません。
しかし、個人再生を裁判所に申し立てるには膨大な量の書類を集め、何十枚もの申立書類を作成する必要があります。また、申立後も、裁判所から不明点についての説明を追加で提出するような指示・連絡がくることがあります。これらすべてにご自分で対応するのはとても大変です。
このように個人再生は債務整理の中でも複雑及び難解で手間が大変かかるため、法律知識もあり個人再生の手続きに慣れている弁護士に依頼されるほうがいいでしょう。
また、ご自分で個人再生の申立できたとしても、弁護士がついていない場合は、裁判所は再生委員を選ぶことが多くあります。(※弁護士がついている場合は個人再生委員を選任しないケースが多いですが、弁護士がついている場合であっても申立てをする地域や条件により個人再生委員が選任される場合もあります。)再生委員にはほとんどの場合弁護士が選ばれますが、その再生委員の費用が必要となります。
また、自分で個人再生の手続きをする場合は申し立てするまでは債権者からの請求は止まりませんが、弁護士に依頼することで業者からの取り立てが止まりますので、厳しい取り立てにあって精神的に参っている方にとっては弁護士に依頼した場合にすぐに実感できるメリットだと言えます。弁護士に依頼する場合には弁護士費用を支払う必要がありますが、弁護士に依頼している間は解決するまでの間、債権者に支払いをする必要がないため、浮いたお金で弁護士に依頼をしているケースが多いです。
当事務所では弁護士費用の支払い方法について分割払いなどの相談を承っておりますのですぐにお支払いが出来ない方でもご相談下さい。
任意整理や特定調停では一部の債権者だけを処理することができますが、個人再生では必ず全債権者をまとめて取り扱う必要があります。
アルバイト・パートで働いている人でも、借金が5,000万円以下で将来的に収入の見込みがあると判断されれば、利用できます。
ただし短期間のアルバイトを転々としていたり、期間限定のアルバイトの場合は、将来的な収入の見込みがないと判断される可能性が高いでしょう。
個人再生はマイホームを維持しながら借金の整理ができます。住宅ローン以外の抵当権等が登記されていない限り、住宅資金貸付債権に関する特則を利用してマイホームを守ることができます。
ただしその場合、住宅ローンは個人再生の減額の対象となりませんのでご注意下さい。
ローン支払い中の車はローン会社が車の所有者になっている場合が多いですので、ローン会社に引き上げられるのが原則です。
ローンがない車については手放す必要はありません。
ただし、車の価値が大きい場合は返済額が大きくなる場合があります。
個人再生の場合は保険を解約する必要はありません。
ただし、保険を解約すると解約返戻金が返金される場合がありますが、その額が大きい場合は返済額が大きくなる場合があります。
はい。迷惑がかかってしまいます。
主債務者が個人再生の申立をすると、通常債権者は連帯保証人に対して請求をすることになり、場合によっては連帯保証人は残債務の一括請求を受けることもあります。連帯保証人は債権者への支払いを拒むことができません。
また、個人再生手続により主債務者の借金が減額できても、連帯保証人の債務は減額されません。
従って、個人再生手続きをする際には連帯保証人と相談しておくことが大切です。
場合によっては連帯保証人も並行して債務整理手続きをする必要もあります。
税金は免責されませんので払う必要があります。役所と話し合って無理のない分割払いにしてもらえるようお願いするとよいと思います。
また、養育費などの扶養義務に関する債務、交通事故の人身の損害賠償債務、犯罪被害者への弁償債務も減額にならないことが一般的です。
個人再生を利用する条件を充たさない場合は、裁判所は手続きを認めません。
弁護士に個人再生を依頼した当初は条件を充たしていたが、その後収入が下がったなどの事情変更によって条件を充たさなくなることもあります。
個人再生の場合には家族や職場に内緒にしづらい手続きと言えます。
個人再生は裁判所を通す手続きですので、裁判所に提出しなければならない書類があります。
必要書類の中には配偶者や同居人の給与明細書や源泉徴収票があります。また、賃貸借契約書や保険証券なども必要書類にあたるため、家族が保管している場合など持ち出すのが難しい場合もあるでしょう。
また、職場についても退職金見込額証明書が必要ですので、職場に何に使うのか聞かれるでしょうし、聞かれなくても債務整理をするのかもしれないと察してしまう可能性もあります。
小規模個人再生の申し立ては可能です。以前に破産手続開始決定を受けた人も、破産手続をしたことが再生計画案の不認可事由に該当しないので可能です。
ただし、給与所得者等再生手続きについては破産免責決定の確定後7年間は利用できません。
個人再生を行っても、家族の信用情報がブラックリストに載ることはありません。
ただし、場合によってはブラックリストに載っている人と同居する家族の場合、同じ住所や同じ名字の人がカードやローンを申し込んできた際には、金融機関は申込者が債務者と生計を一にする家族である可能性を考慮するため、審査の目が厳しくなる可能性はあります。
子どもの進学について学校側が家庭の債務整理の記録を調べることはありません。就職についても会社側が家族の債務整理歴について調べることはなく、官民問わずどんな職業にも就くことができます。
また、債務整理の記録は戸籍とは全く無関係ですので、戸籍に債務整理歴が記載されることはなく、将来子どもさんが結婚される時にも影響はありません。
再生計画が認可され確定すると、再生手続は終結します。債務者は再生計画に従って弁済を始めることになりますが、誰かに監督されるということはなく、債務者が自主管理をしながら弁済することになります。
ただし、再生計画に従った弁済を怠ると、債権者の申立てにより再生計画が取り消されてしまうおそれがありますので十分な注意が必要です。
返済が遅れた場合、債権者から連絡や督促が入ります。この時にすぐに返済ができれば大きな問題になることは少ないのですが、返済できない場合には個人再生が取り消される可能性が出てきます。取り消された場合は減額された借金が元に戻ります。また、個人再生を行った際の費用も返ってきません。
そうなってしまう前に、どうしても返済が困難になった時には一定の要件を満たせば、再生計画の変更や免責の制度もありますので弁護士に相談してみることをお勧めします。
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