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刑事事件に関する裁判員制度が始まって5年が経ちました


2014/06/01 18:20

  刑事事件に関する裁判員法が施行されて5年が経過したことを踏まえて、日弁連の会長談話が出されました。

 会長によると、裁判員裁判制度自体は安定した運用が定着しているとして評価できるとしつつ、上訴審において裁判員の判断が十分に尊重されていないという問題があることや、検察官の活動と比べて弁護人の活動がわかりにくいこと

などが問題点として指摘されています。

 長崎・佐世保においても、テレビや新聞の報道などにより、「裁判員裁判」という制度の大まかな仕組みについてはほとんどの市民の皆様が理解されています。
 日頃の業務の中でご相談者の方々から裁判員制度について質問されたり、

日常生活の中で友人や知り合いから裁判員制度についての質問をされることもあります。中には、実際に裁判員の候補者になった人が身近にいるという方もいました。
 特に長崎市では、最近も重大事件が発生して裁判員裁判が開かれましたから、市民の皆様にとって重大な関心事となっているようです。

 もっとも、長崎で裁判員裁判が開かれるのは長崎市(長崎地裁本庁)のみであり、佐世保市(長崎地裁佐世保支部)では裁判員裁判は開かれません。
 そのため、佐世保市では、裁判員制度に対する興味・関心は、長崎市内の方々よりもやや薄いかもしれません。

 裁判員制度について、全国的には、裁判員となったことにより苦痛を被ったとして国が訴えられたケースが発生したり、裁判員裁判において死刑という判決が下されたにも関わらず上訴審で判決が覆されたケースが発生するなど、裁判

員裁判の運用に関する問題点はまだまだ残されたままです。
 なお、前者の問題点については、裁判員に見せる証拠については残酷ではないものや白黒写真に差し替えるなどの工夫がなされているようですが、これによりかえって裁判員が適正な判断ができなくなるのではないかとの意見もあります。

 当事務所でも、長崎や福岡の裁判員案件を取り扱っており、被告人側の弁護人となることもあれば被害者側の代理人となることもありますが、今後の裁判員裁判の運用に注目していきたいと思っています。
 

※裁判員裁判の対象事件は、地方裁判所(長崎地方裁判所、佐賀地方裁判所、福岡地方裁判所など)で行われる刑事裁判(刑事事件、第一審)のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての刑事裁判である。詳しくは、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)」で定められており、刑事事件のうち、死刑または無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(裁判員法2条1項1号)や、法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(裁判員法2条1項2号)とされている。
 

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