改正後の民法では, ① 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか,又は賃貸人がその旨を知ったのに,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき 又は ② 急迫の事情があるときには,賃借人が目的物を修繕することができることとされました。 これにより,上記①や②の場合には,賃借人が目的物を修繕したとしても, 賃貸人から責任を追及されることはないことが明確になりました。
★事例5★ ① 施行日前の2019年4月,賃貸期間を2年間として,アパートを借りた。これに合わせて,賃借人の親が,賃借人が賃貸借契約によって負う債務の保証人になった。 ② 施行日後の2021年3月,賃貸期間満了により賃貸借契約が終了したが,敷金の返還をめぐってトラブルになった。 ➡施行日より前に賃貸借契約と保証契約の双方が締結されているので,改正前の民法が適用されます。 敷金について新たに設けられた民法622条の2などの規定は,適用されません。 ※ 施行日後に当事者が合意によって賃貸借契約や保証契約を更新したときは,当事者はその契約に新法が適用されることを予測していると考えられますから,施行日後に新たに契約が締結された場合と同様に,改正後の新しい民法が適用されます。 他方で,施行日前に保証契約が更新後の債務も保証する趣旨でされ,保証について合意更新がされなかった場合には,施行日後も当該保証契約については改正前の民法が適用されます。