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2017年「破産事件及び個人再生事件記録調査」について


2020/02/03 13:15

消費者問題対策委員会では、年に6回「消費者問題ニュース」を発行し、委員会の活動について紹介しています。
最新号「消費者問題ニュース191号 」に掲載されている2017年「破産事件及び個人再生事件記録調査」報告の記事を一部ご紹介致します。

【2017年「破産事件及び個人再生事件記録調査」の概要】
当委員会では,多重債務部会が監修して,1992年からほぼ3年おきに全国の破産及び個人再生記録の調査を行っています(個人再生については2002年 か ら 実 施 。)。2017年調査は,2016年6月1日から同年11月30日までに申し立てられた記録について,47都道府県,50地裁全てを対象として実施されました。有効データは,破産が1238件,個人再生が763件(小規模個人再生569件,給与所得者等再生194件)でした。

【2017年「破産事件及び個人再生事件記録調査」の特徴】
2017年調査の特徴について、報告させていただきます。(%は小数点第2位を四捨五入)
(1)  債権者の属性:登録貸金業者減少,保証会社等増加    総量規制の対象である登録貸金業者は減少し(破産:14年45.5%→17年42.45%,再生:14年58.4%→17年52.4%),保証会社等が増加しています(破産:14年15%→17年22.9%,再生:14年13%→17年27%)。    保証会社等の原債権者は銀行が約半数を占め,登録貸金業者が保証会社となった銀行カードローンが増加している現状を示しています。
(2)  多重債務に陥った原因:保証減少,浪費等増加    多重債務に陥った原因(複数回答)として,最も多いのは2002年調査以降「生活苦・低所得」(破産61.5%,再生34%)となっています。    2017年調査では,民法改正にも取り入れられた第三者保証の原則禁止の流れの中で「保証債務」が大幅に減少しています(破産:14 年 22.4%→17年14.5%,再生:14年10.3%→17年5.5%)。    また,「ギャンブル」(破 産:14 年3.9%→17年4.9%,再生:14年11%→17年16.8%),「浪費・遊興費」(破産:14 年 6%→ 17 年 9.3%,再生:14年16.5%→17年21%)が増加しています。これは,総量規制の対象外である銀行カードローン等の過剰融資が一因と思われ,破産申立件数自体も2016年以降増加に転じています。
(3)  20代,30代の破産者の微増,破産までの期間の短縮    20代,30代の破産者が微増していること(20代:14年6.4%→17年7.4%,30代:14年18.2% →17年19.6%),最初の借入から破産申立てまでの期間として「5年以上」が減少していること(14年86.8%→17年78.5%,)から,若い世代等に対して,短期間に過剰な融資が行われていることが窺われます。
(4)  破産事件における免責不許可の微増    前述したとおり,2014年調査では免責不許可は1件もなかったのですが,2017年調査では1238件中7件あり,2002年調査以降最大値となりました。とはいえ,免責不許可は,2000年以降一貫して1%未満で推移しており,免責不許可となるのがレアケースであることに変わりはありません。
(5)  再生事件における債権者の不同意の増加,給与所得者等再生事件の増加    債権者の不同意の割合が増加し(14年6.3%→17年8.7%),それに対応してか2011年から2014年にかけて激減していた給与所得者等再生事件が増加に転じています(11年311件→14年148件→17年194件)。
(6)  管財事件の増加,個人再生委員選任は減少    同時廃止事件が2002年調査から減少し続け(11年76.8%→14年73.6%→17年69.5%),管財事件が増加しています。    これに対して個人再生委員の選任については,全職務について選任された割合が2014年まで増加を続けていましたが,何故か2017年には減少に転じました(08年17.2%→11年18.5%,14年23.7%→17年20.2%)。次回調査で増加・減少どちらに向かうのか気になるところです。

出典
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会 発行
消費者問題ニュース191号

※2017年「破産事件及び個人再生事件記録調査」報告の記事の全文をお読みになりたい方は日弁連のホームページに掲載されておりますのでご覧下さい。

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